上部頸椎カイロプラクティックとは

上部頸椎カイロプラクティックは、数多くあるカイロプラクティック・テクニックの一つで、発祥の地アメリカなど海外では、Specific Chiropractic(スペシフィック・カイロプラクティック)や、Upper Cervical Chiropractic(アッパーサービカル・カイロプラクティック)と呼ばれています。

Specific Chiropractic(スペシフィック・カイロプラクティック)

上部頸椎カイロプラクティックでは、首の骨(第一・第二頸椎)だけをアジャストメントの対象としており、しかも1か所だけしか行いません。この方法は、カイロプラクティック発見者であるD.D.パーマーの息子、B.J.パーマーがカイロプラクティックを教えるパーマー大学の2代目学長に就任して以来、約30年の歳月を費やして研究し、生涯のうち約60年をカイロプラクティックに捧げた集大成です。

Dr.B.J.palmer

スペシフィック・カイロプラクティックとしての確立

1930年(昭和5年)にB.J.パーマーによって、アジャストメントの対象を上部頸椎のみに限定するH.I.O.と言う学説が発表されました。
これは『直接病気の原因となるサブラクセイション(神経伝達の妨害)は首の上位の骨(上部頸椎)にあり、ここにサブラクセイションが起こると人間本来に備わっている自然治癒力が妨害され、その結果ディス・イーズ(不調和を起こした状態)が発生する。そこで、このサブラクセイションを取り除くことにより、首から下の背骨の矯正も、病気の診断・治療も、脳からの先天的治癒力(自然治癒力)が行うので触る必要はない』という学説です。
そして1950(昭和25年)、H.I.O.はB.J.パーマーによって、Specific Chiropracticと名称を改めるのでした。

H.I.O.理論

科学性

それまでのカイロプラクティックでは、術者の感覚を判断基準としており、科学性が乏しいという一面がありました。
1910年(明治43年)、B.J.パーマーによってカイロプラクティックにX-Ray=レントゲンが導入され、科学的な検査、研究が行われるようになりました。これにより、実際の体の中で起きている事が確認出来るようになりました。
1924年(大正13年)には皮膚表面温度測定機が発表され、その後も改良を重ねながらカイロプラクティックに科学的なメスを入れていきました。この皮膚表面温度測定機は現在でも、カイロプラクティックに於ける検査の必需品となっています。
そして1935年、B.J.パーマー カイロプラクティック リサーチクリニックを開設。医師や看護師を雇い、医師には診断をさせ疾病名を付け、病院と同等の検査を行い、そして上部頸椎へのアジャストメントのみを行うことで、彼は上部頸椎へのアジャストメントのみで体が先天的知能(イネイト・インテリジェンス)により回復していく事を科学的に証明したのでした。

(画像出典/上部頸椎カイロプラクティック 哲学・科学・芸術 賀来史同著

B.J.パーマーの言葉

B.J.パーマーは、自身の著書でこのようにも表現しています。

「自然は助けを必要としない」

「内部からあなたを造り上げた力よりも、外部からのスプーン1杯の薬を信用するのは道理に適った事であろうか」

スペシフィック・カイロプラクティックの特徴

このテクニックの特徴は、最小限の刺激で最大の効果をあげることにあります。なぜなら、人体は自分自身の体の中に自然治癒力を持っていて、余分な刺激は必要としないからです。これにはB.J.パーマーの哲学である『自然は助けを必要としない。』という考えが根底にあります。そして、上部頸椎のサブラクセイションをアジャストメント(調整)したあとは放っておく。これはつまり、後のこと(診断・治療)は自然にまかせるということなのです。まさに上部頸椎カイロプラクティックは、その哲学と一体化した、宇宙・自然の法則に基づいた自然療法なのです。